英語発音の教え方・指導法

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「英語の発音を教える」というと、日本人が間違いやすい「lとrの違い」や「thの発音の仕方」などを教えれば良いのかしら??と思うかもしれません。

生徒も「英語の発音を良くする=1つ1つの発音をきれいにすること」と思っていることが多いようです。

しかし実際には、通じる発音のポイントは、個々の英語発音だけではなく、英語特有の音の連結(つながる音)や消滅(消える音)、文章全体のリズム・強弱などが大きく作用します。

まずは、発音指導に必要なポイントの全体像を把握し、個々の生徒のニーズにあわせてカスタマイズして発音指導を取り入れることが大事になります。

グローバル化の現代では、必ずしも英語発音をネイティブに近づけることだけが優先されることではありません。
しかし、やはり発音全般がネイティブに近いほうが、世界のどんな方に対しても通じやすくなりコミュニケーションが円滑になることは間違いありません。

生徒の希望が「発音を完璧にしたい」のか、それともまずは「何でも良いので英語が口から出ることを優先したいのか」にあわせて、発音の指導を取り入れていきましょう。

(1) 発音指導の3つの要素と全貌を理解する

発音の大きなパートは3つあります。

個別の発音

lとrの違いやthの発音の仕方はここに含まれます。
日本人が間違いやすい、または苦手としている個々の英語の発音にフォーカスし、優先順位をつけて教えていきます。

子音よりも母音から指導をはじめたほうが、変化の度合いを大きく感じることができます。
日本語は「あ-い-う-え-お」の5つの母音に対し、英語は、約26個(諸説あり)の母音があります。
日本語の母音と英語の母音の比較を図で示しながら、口の開き方、舌の位置が日本語とどう違うか、1つ1つ練習していきましょう。

日本語と英語の母音の違い

メインの母音の練習が終わったら、次は子音です。
子音は、日本語と同じようなものは飛ばし、日本人が間違いやすい子音のペアに焦点をあてて違いを明確にしていくと早道です。

似ている子音のペア練習

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(2) 英語特有の音の連結(つながる音)、同化(変わる音)、消滅(消える音)

個々の発音と同じくらい大事なのが、2語や3語で起こる英語特有の変化です。
ここをしっかり理解し自分で再現できるレベルにならないと、リスニング力もあがりません。

どのようなときに「つながる音」になるのか。(2語のつながり、3語のつながり)

どのようなときに「消える音」になるのか。(同じ子音が続く、破裂音が単語の最後で子音が連続する、破裂音が句の最後または文の最後)

どのようなときに「変わる音」になるのか。(have to, want to, going to などの変化、動詞+you、 [t]がラ行になる、など)

メインのものから事例をたくさん示して練習をしましょう。
ここでは、ルールをある程度覚えたら、あとは「事例・事例・事例」です。
いかにたくさんの音の変化に遭遇できるか、それを自分の口で言えるようになるとリスニングにもつながります。

音の連結、同化、消滅を指導するのにわかりやすい本

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英語舌のつくり方 ――じつはネイティブはこう発音していた! (CD book)

(3) 文章全体のリズム、強弱、アクセント、イントネーション

最後に、文章全体に目を向けます。
日本語は平坦に読まれますが、英語は強弱、速度のリズムがありますよね。

まずは、「どこが強くゆっくり高く読まれるか(内容語)」「どこが弱く速く低く読まれるか(機能語)」のルールを示します。

その後、英文スクリプトを生徒に渡します。
まずは英文を聞く前に、生徒に強い箇所の予想をして○をつけてもらいます。

実際にリスニングをしてみて、その語が強く読まれていたかどうかを確認します。

この作業の繰り返しで、英語のリズム、強弱を体感していきます。

次に、拍手やリズム打ちをしながら英文の速さが変わるリズム変化の体験をします。

英語のリズム

(2) 生徒にあわせた発音指導プランをたてる

発音指導の3つのパートを講師が理解したところで、次は、生徒それぞれにあわせた発音指導のプランを立てます。
プランを立てる上での3つのポイントをご紹介します。

(1)個々の発音にこだわりすぎないこと

ポイントの1つ目は、「あまり1つ1つの音にこだわりすぎないこと」です。
中には、ある特定の音の発音がなかなかできない生徒もいます。
そこで「この音が完璧にできるまで徹底的に」としてしまうと、生徒も自信をなくしてしまいますよね。
できない音は「また今後やるので大丈夫ですよ」とさらっと流して次に進みましょう。

(2)個別の音(1レッスンにつき1つ)→連結(つながる音)、同化(変わる音)、消滅(消える音)→リズム・強弱

発音を重点的に集中して学びたい、という場合は別ですが、そうではなく「会話の中で発音も良くしていきたい」と希望する生徒のレッスンでは、以下のようなプランをオススメします。
各レッスンに10分ほどの発音パートを用意し、以下の順で発音を導入、練習して理解を深めていきます。

個々の発音は母音と子音の「間違いやすいもの」に絞って、1レッスンに1つずつ紹介します。
すべて教えるのではなく、最初は計10個ほどに絞ります。
すべてをカバーしようとすると、音がたくさんありすぎて生徒もゴールが見えづらくなるからです。

個々の音を復習しながら、つながる音、変わる音、消える音の事例を豊富に紹介します(2語・3語単位で)

3文程度の英文(TOEICのPart2などもオススメ)を用意して、まずは、強く読まれるところを○をつけて予想する練習をし、実際にリスニングして英文のリズムを確認します。

(3) リスニング練習との相乗効果で、発音力、スピーキング力、リスニング力の底上げ

1回のレッスンにつき10分程度の発音パートを設けて上記3つの内容のおおよそのカバーが終わったら、あとはリスニング練習とスピーキング練習をかねて、実践練習の積み重ねをしながら発音力をあげていきます。

徐々に長い文章を用意し、ディクテーション、リピーティング、シャドーイングを取り入れながら、個々の発音・音のつながり・英文のリズムなどを復習します。

何度も同じ発音のポイント(個々の発音、音のつながりや変化、英語のリズム)に遭遇し、アハ体験を積み重ねて、英語の総合力(リスニング・発音・スピーキング)があがっていけば、生徒のモチベーションもあがり、結果として発音指導が成功となるのはないでしょうか。

例えば、クリスマスなどシーズンごとに、英語の歌を使って英語のリズムやつながる音の復習時間を取り入れるのも面白いですね。

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