ニュース記事を英語レッスンの教材にする方法まとめ(英検2級以上対象)

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英検2級以上に相当する英語力を持っている生徒とのレッスンでは、英語を何かを学ぶための「ツール」として使うような学習をしたいものです。
今回は、中学生から成人まで楽しんで学習していただけるニュース記事の英語学習サイトと、そのレッスン例をご紹介します。
ニュース記事を英語レッスンの教材に活用しよう
新聞やインターネットで公開されている英文記事は、恰好の学習素材になります。
ただし、民間の教室レッスンやオンラインレッスンでは、記事の著作権の扱いに配慮が必要です。
筆者の場合はオンラインレッスンを提供していますので、これからご紹介する以下の学習サイトを使用しています。
無料の学習サイト
Breaking News English
https://breakingnewsenglish.com/
こちらは2014年に、ブリティッシュカウンシルのELTons Innovation Awardにノミネートされた学習サイトです。
最新のニュース記事が7レベルで提供され、新しい教材が2週に1回のペースでアップロードされます。
PDFファイルにして27ページにわたるボリューム、多彩なアクティビティが盛り込まれていますので、生徒のレベルやニーズに合わせてカスタマイズするとよいでしょう。
レベルはCEFRで分類されていますが、筆者のお勧めはレベル4(CEFR B1-B2)、レベル5(B2)、レベル6(C1-C2)です。
公開される記事のカテゴリーは以下の通りです:
Business English
Environment
Education
Health
Issues
Lifestyle
People / Gossip
Technology
World News
このサイトをレッスンで使いやすい理由は、何と言っても「旬」の話題がほどよいボリュームにまとまっていることです。
例えば、レベル6でも250語程度に収まっているため、生徒にとって読む負担が少なく、単語が難しくても挑戦してみようと感じてもらえます。
ニュース記事を取り入れた英語レッスンの一般的な流れ
筆者がオンラインレッスンでこのサイトを利用するのは、主に英検準1級受験が視野に入っている中学生とのレッスンですが、過去には成人の受講者も何人かいました。
アップされている記事には、日本であまり報道されていない内容もあるため、知的好奇心を刺激する楽しいレッスンになることは間違いないでしょう。
また、国内のニュースで聞いたことがあるトピックであれば、背景知識があるため英文記事が読みやすくなり、その分スピーキングに集中することが出来ます。
Breaking News Englishのサイトを活用したレッスンの流れをご紹介します。
筆者が実際に行っているレッスンの中でも一般的な学習の流れです。
1. 教材の準備
まず、サイトに掲載されている学習素材をスクリーン上で取り組むか、プリントアウトするかですが、私はプリントアウトをお勧めします。
理由は、書き込み等が出来て学習しやすいからです。
また、驚くほどたくさんのアクティビティが紹介されている(全27ページ)ので、必要な個所のみ選択して編集したものを生徒に渡すとよいでしょう。
または、mini-lessonとしてダウンロードできるファイルを使用してもよいでしょう。
こちらは2ページに記事とエクササイズが収められているバージョンです。
2.記事を黙読
まずは自分の力で読み進めてもらいますが、講師は生徒が読了するまでの時間をタイマーで計測しておきましょう。
生徒にとっての記事の難易度を推測することが出来ます。
3.記事の音声を聞く
各記事の上部に「LISTEN-North American & British English」というリンクがありますので、クリックすると5種類のスピードで音声を聴くことが出来ます。
標準速度では北米・イギリスそれぞれの英語のアクセントでリスニングが可能です。
この時、スラッシュを入れながらリスニングしてもらうと、内容把握に役立ちますし、生徒の読解力を確認することが出来ます。
4.単語やフレーズを確認
ここまでは知らない単語を推測しながら黙読・リスニングしてきましたが、気になる単語やフレーズはぜひこのタイミングで調べたり、質問をしてもらって疑問を解消しましょう。
また、講師から見て「押さえてもらいたい」と思う表現はここで例文を上げたり使い方を紹介し、次回のレッスンで復習クイズを出したりしています。
5.各パラグラフで自分がわかったことを話す
もう一度パラグラフごとに黙読し、そのパラグラフで自分が分かったことを英語で述べてもらいます。
要約ではないので、内容の一部に着目して話しても、主観が入っていてもOKとしています。
6.各パラグラフを一文で要約
パラグラフを精読し、1センテンス(20~30語程度)で内容を要約します。
解答はひとつではありませんが、要約することで内容への理解力が深まります。
また、語数制限があることでパラフレーズ(他の表現に言い換え)する力や語彙力を鍛えることが出来ます。
出来た要約文を他の生徒や講師のものと比較してもらう、chat GPTで作成したものと見比べる、など能動的な学習にしましょう。
7.Warm-ups 4番の表でトピックについて思考する
毎回、Warm-upsセクションの4番に登場する表と課題は、記事についてディスカッションをする前に背景知識を得たり自分の考えを整理したりするための足場になってくれます。
すべての項目について話す必要はありませんが、生徒が関心を持っている項目を選んでもらい、必要に応じて調べ学習をしてもらいます。そして調べた結果を英語で報告してもらいましょう。
8.語彙問題に取り組む
パラグラフごとに7つの単語とその定義をマッチングする練習問題があります。
定義はあくまでもその記事の中での単語の意味ですが、英語で書かれた定義ですので英英辞書を引く習慣がない学習者にとっても単語のイメージをつかむ上でよい勉強になります。
9.ディスカッション
ディスカッションのための質問がStudent A/Bそれぞれ10問ずつ挙げられています。
本来はペアワークのためのセクションですが、私のプライベートレッスンでは、生徒に関心がある質問を、例えばStudent A’s questionsから2問、Student B’s questionsから2問選んでもらい、生徒に考えを話してもらいます。
適宜、講師の意見も交えながらディスカッションします。
レッスンでは講師主導の会話になりがちですが、生徒から相手の意見に質問したりコメントしたりできるよう促しましょう。
”You mean that…”と相手の意見を確認したり、”I see your point, but…”と相手の意見をいったん受け入れたうえで反対意見を述べるスキルなど、ディスカッションで使う表現はいったん慣れると大変便利です。
ディスカッションで使える表現をあらかじめリスト化して生徒に明示し、表現を積極的に使う練習をしてもらいましょう。
10.自分の意見と3つの理由で英作文
ディスカッションで学んだことを整理するためにぜひ意見を英作文にまとめてもらいましょう。
レッスンで話したトピックについて自分の意見とその理由を3つ英文で書き、提出してもらいます。
講師は文法・論理性・語彙などの観点から確認しフィードバックするとさらに学習が深まります。
宿題
記事には聞き慣れない単語や言い回しが頻出します。
宿題では必ず音声を聞いて音読の練習をしてもらいましょう。
また、全体の流れでお伝えした調べ学習や英作文も、基本的には家庭で取り組んでおいてもらうと、レッスン時間でスピーキングに時間を割くことが出来ます。
ニュース記事を英語レッスンで使用する方法まとめ
英語をツールに視野を広げるためには、ニュース記事は大変優れた学習素材です。
中高生にとっては世界の出来事をきっかけに問題意識をもつことが出来、大人の生徒にとっては既知のニュースを英語で読む楽しみが生まれます。
常に情報をアップデートする講師にとっては負担が大きいレッスンですが、生徒とともに今日的なトピックに取り組めるのは講師自身の成長にもつながります。
ぜひ、レッスンにニュースを取り入れてください。