英語の学習ノートを使ったコミュニケーションを大切にして生徒との信頼関係を構築(Hiroki先生)

中高一貫校で英語を教えているHiroki先生

興味の湧く授業と、それを支えるノートコミュニケーション

学校の先生は、生徒との信頼関係をとても大事になさっている方が多い印象です。Hiroki先生はどのように信頼関係を築いていますか?

私の場合は、まず興味の湧く授業をするというのが前提ですが、それに加えて生徒の提出物に対してしっかりとコメントを返すようにしています。質問に対しての回答や解説だけではなく、誤答の分析方法を含めて学習の考え方を伝えたり、何となく提出する子に対しては自分に対する向き合い方を伝えたりと、最終的に独力で質の高い学習ができるようにすることを目標にコメントをしています。1対1の時間をなかなか取れない中、ノートを使ってコミュニケーションを取っているといった感じでしょうか。

Hiroki先生の学校は人数も多いので、時間がかかりすぎたり、コメントが似通ってきたりはしないのでしょうか

まぁ時間はかかりますね(笑)それでも1クラス40人で1時間ちょっとですよ。それぞれの生徒の現状に合わせたコメントをしていますのでかぶるということはあまりないですね。教員になって15年目ですが、こういう指導スタイルで築いた信頼関係は卒業後も続くことがあり、私にとっては大変嬉しいことです。

教え子が夢を叶える喜び、それを教えてくれる嬉しさ

一例ですが、教え子の1人はヤンキースが好きだったこともあり、球団の選手を登場させる英文を提出する課題を出した(というより本人がそういう形式が良いと言ってきたのですが)のですが、中学2年から高校3年までずっとノートを提出し続けてくれました。結局10冊以上ノートを提出してくれたと思います。その卒業生から先日連絡があり、ヤンキースの本場ニューヨークの大学院で言語障害について研究することになったということでした。色々と繋がったなぁ!と嬉しくなりました。

それは嬉しいですね!丁寧にコメントするようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか

うーん、自分が学生時代の頃は先生と生徒の距離があまりにも遠かったので、もう少し人として向き合っても良いのではないかと思っていた節はあります。ただ、もちろん友達ではないので一線は引きます。生徒には新学期のはじめに目標設定をしてもらうのですが、提出物の内容が目標設定とかけ離れていたり、進捗が遅れたりしている生徒へのコメントは、自分でもかなり手厳しいと思います。それは前述した卒業生に対しても誰にでも同じです。そういう正直なコメントが、指導上でも信頼関係上でも大事だと思っています。

GTECを早期に導入して英語4技能の向上に努める

どう面白い授業を作るか

なるほど。そういった丁寧で正直なコメント返しをずっと継続なさっているとは脱帽です。コメントとは別に、冒頭で「面白い授業をするのが前提」と仰ってましたが、どのような工夫をなさっているのでしょうか。

そうですね、単純に、暇なく授業に関わらせるという点を大事にしています。条件次第では保護者の皆様にもご協力をいただいて(家庭での音読・シャドーイングに参加してもらっています。)、学校と家庭の両面から生徒の授業に対する関心を育む工夫を行っています。使う例文に生徒本人を登場させ、身近にありえそうな文脈を取り込んで和文英訳、英作文をしたり、頻繁に英問英答(聞いた/読んだ内容に対して、こちらが英語で質問をし、生徒がそれに英語で答える)をしたり、活動ごとに立ったり座ったりクラス内を動き回ったり、と気付いたら授業が終わっていたというのが理想です。
一方で理屈で丁寧に構造を説明する場合もあります。「肯定文→否定文→疑問文→応答→疑問詞を用いた疑問文→応答」といったように、語順が「なぜ」「どのように」変化するのかを順を追って説明し演習を繰り返します。
いろいろなタイプの生徒に響くような授業スタイルを大切にしていているということですかね。ある側面が苦手でも、別の側面は得意であったりするので、多技能に働きかけることで、「英語がイヤ」という結論にはなりにくいと思います。本来の主旨とはずれますが、英語4技能(聞く、話す、読む、書く)に訴えかける授業展開は、上のような意味でも効果があるのだと思います。

英語4技能対応とGTECの導入

それは興味深いですね。英語4技能に関してHiroki先生の学校ではどういった対応や、どういった課題があるとお考えでしょうか。

英語4技能の中でも、特にスピーキングに対しては2017年度から、オンラインでネイティブとマンツーマン英会話レッスンができる環境を作りました。生徒一人一人が英語で外国人と会話する機会を、年間30回ほど設けています。このシステムを通してスピーキングのテストも行っていく予定はありますが、それを成績に反映するかどうかは難しい判断が伴います。外国人スピーカーの主観をどう取り扱うかといった部分には、学校としてかなり慎重に考えています。このスピーキング力の成績の反映という課題に対しては、より客観性が担保できるGTEC for STUDENTS Speaking Testを今年度の中1から導入します。
またこれは以前から取り組んでいるものですが、中1でRecitation Contest(簡単な物語の暗唱朗読)、中2でShow & Tell Contest(自分の宝物や尊敬する人について400語程度で語る)、中3・高1でスピーチコンテスト(与えられたお題に対して自分の意見を述べる)と各学年のSpeakingの成長を披露する場を設けています。加えて3学期には7~8時間をあてて、3~4人の洋書グループプレゼンを行っています。各グループは該当箇所に対しての質問を英語で作り、授業内で他のクラスメートに問います。また、該当箇所で興味を持ったことに関して事前に調べてきて、それを英語で発表することも行います。

すごいですね。かなりしっかり対応なさっているように思います。今後Hiroki先生の課題などもありましたら教えてください。

まだまだ自分も勉強中なのですが、今年からは学年の副主任として英語単体ではなく全教科的な視点から、全体をより良くするためにできることを考えていきます。

Hiroki先生

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